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用途:店舗|所在地:新潟県新潟市|竣工:2017年|リフォーム|延床面積:264.23u|協同設計:黒川哲志
【仏壇屋の原型を目指して】
新潟市にある仏壇・仏具・墓石店のショールーム計画である。一般的な仏壇屋の陳列形態は、ボリュームが大きく素材感も強く高価な仏壇を密集させ隣接配置するのが常道であるが、来店客が仏壇を吟味する際、他者の視線が気になり、他の商品に目移りし、かつ圧迫感がある。本計画では、仏壇と対峙でき、又その際の静謐な心持ちを現す空間デザインを目指した。
【慈雨のきらめき】
仏壇の列の背後にストリングカーテンのラインを設け、空間を緩やかに仕切った。更に上部から照明を当てることで境界性が際立つ。そこに慈雨のイメージを重ねた。慈雨とは万物を潤し育てる恵みの雨のこと。干天の慈雨など、救いの手に例えられる。光を浴びてきらめき降り注ぐ慈雨のイメージは、仏教の救いのイメージとも重なる。
【多孔質な境界】
店内の壁は、多孔質素材であるアイカテック建材社製品の「モイス」を張ることで、仏壇や墓石の持つ素材感に負けず、奥行き感を感じさせる壁面とした。また多孔質素材を用いることで、仏壇から放出される臭い対策も兼ねた。モイスの自然で爽やかな質感を持った壁面により、印象的な「仏壇屋の原型」を提示することが出来たと思う。
(黒川哲志+中野一敏)