3人家族のための住宅です。
クライアントは、海に面して大きな窓を設けて、海を見ながら生活する事を望まれていました。
しかし、日本海の冬は、毎日のように台風の様な強風が吹きます。
穏やかな太平洋に面して建てるのとは違った配慮が必要とされました。
防風壁を建て、水平線を見せる
この辺りの海辺の住宅には、冬季に防風壁をたてる習慣があります。
私も、室内に座った時に、ちょうど壁の上に水平線が見える高さまで防風壁をたち上げる事にしました。
壁をたてることによって、水平線を見せることができれば、壁に風を和らげる以上の価値が生まれ、
風景にも新しい価値が生まれると考えました。
壁の内側は、日本海を借景にした石庭としています。
水平線は地球の丸さが生み出す人為のおよばない現象であり、まさに自然そのものです。
そこに沈む夕日もまた同じです。
永遠に変わらない自然をみつめ、しばし日常から切り離される体験を与えてくれたのは、
海風を和らげるための防風壁だったのです。
厳しい自然との関わりが生み出した価値
この住宅の外形は、冬季の強風を受け流しやすいようデザインされました。
周囲の自然に対して、力強い存在感を放っています。
外壁の色は、近くの砂浜の色と合わせました。時間が経つほど周囲の景観と調和してきました。
冬には、雪で白く覆われた石庭が抽象度を増して、水平線がさらに美しく見えました。
【住まいnet新潟 vol.16 特集記事に取材協力いたしました。2013/9】
【Architizer 〈ニューヨーク発のオンラインサイト〉に掲載されました。2014/6】
用途:個人住宅|所在地:新潟県上越市|竣工:2013年|新築|構造規模:木造2階建|延床面積:180.70u