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JIA(日本建築家協会)Bulletin2013年1月号に寄稿いたしました。2013/1

周辺から考える 2012.12.1

東京からUターンして見えたもの

新潟の冬の気候は東京と反対で曇天の日々だ。かつての表日本、裏日本という言葉の印象のように大きな違いがあるのだが、それに比べ建物はあまり変わらないように思える。体に合わない服を着ているような違和感。地域の気候風土から導かれたのでは無いのかもしれないと考えるようになった。

価値基準を問い直す

私の住む上越には、雪に代表される厳しい自然との関わりがある。雁木(道に面した店や住宅の軒下が連なってできた通路)は、江戸時代の高田(上越市)が発祥である。昭和30年頃の記録によれば、冬季、道路は3m近い積雪で埋まり、2階レベルの雪上の道となり、人々は向かい合う雁木をつなぐ通路として雪上の道の下にトンネルを掘った。雪に埋まる事を前提とした街の作り、人々の営みには、地域の気候風土から導かれた独自性があった。しかし近代化の中でこうした地域性は克服する対象とされ、太平洋側の生活を移植し、対処療法的な工夫を加えて建築、街並みが作られてきたように見える。太平洋側の生活を理想としても自然に逆らうようで無理が残る。

地域に住まう魅力をかたちに

もう一度、地域の気候風土から、現代の生活に合わせて独自の建築を導きだしたいと思う。どこかの生活を理想とするのではなく、この地域に住む魅力を創出したい。厳しい自然とのかかわりを魅力的な建築に昇華できないか。小さな事から実現していきたい。